柿栽培の管理

大玉の甘い柿を作る年間の農作業

柿の木の間伐と枝の剪定(1月〜3月初旬)

柿の木の間隔を広げ、枝を少なくし、斜め上方に伸ばします。枝を2年ぐらいで新しい枝に更新し、日光が十分当たるようにして大玉の糖度の高い実をつけさせます。これらの作業により風通しをよくし、病虫害から守り良質な柿を作ります。

粗皮削り(3月初旬〜3月中旬)

冬の間、木の幹、枝の皮の内側に生存している害虫や病原菌を水圧、皮削り機で外皮を粗削りし、病虫害の発生を防ぎます。

施肥(3月下旬)

柿の木の成長のために、元肥を施します。肥料には有機肥料として、鶏糞を多くして化成肥料を少なくしています。そして7月初旬に追肥を施します。

接ぎ木(3月下旬〜5月上旬)

枝の更新、品種の変更のために、剪定の際に保存しておいた枝から穂木を作り、台木に接ぎ木を行います。接ぎ木によって、枝が若枝に更新でき、品種の変更ができます。

フェロモン剤による防虫

葉巻、へた虫、枝の根元を食い荒らす虫害から木を守るために、農薬でない虫から抽出されたフェロモンを塗ったリングを木の枝につけ虫の害から木を守ります。食の安全、環境の保護のためのバイオテクノロジーを活用した防虫方法です。

摘蕾(てきらい)(4月下旬〜5月中旬)、摘花(5月中旬〜6月初旬)

4月上旬に、枝についた芽が展葉し、新芽が伸長するにしたがって、1個〜6個程度の蕾が現れます。1枝につき2〜8本の新枝が成長します。できるだけ大粒の実をならせるために、新枝につき1個の蕾を残し他の蕾を取ってしまいます。5月中旬には蕾が開いて花が咲きますが、その時期に花を取ることを摘花とよんでいます。花が咲くまでの柿は木に貯蔵された養分にたよっているので、できるだけ大粒の実にするためには、数を減らす必要があります。

ミツバチの巣箱を設置(5月中旬〜5月下旬 花の咲く頃)

富有柿の花には、めしべしかありません。そのために雄花が咲く品種の柿を農園に植えています。受粉を促進するために柿園にミツバチの箱を設置します。つまりミツバチの助けを借りて受粉を行います。十分な受粉が行われないと、柿の実の中に種ができないか少なくなってしまいます。そうなると柿の実が早期に落果するか、頭がくぼんだ扁平な柿になってしまいます。

人工授粉(5月中旬 花が咲く頃)(5月中旬〜5月下旬)

大粒の柿がなる「早秋」、「巣南」、「太秋」、「ふじ」では着果率が低いので、人工的に受粉を行っています。雄花から花粉を採り筆で雌花につけて受粉させていきます。

摘果(7月)

大玉の糖度の高い柿を作るために摘果を行います。剪定で残した1本の枝には摘蕾によって1個の実がついていますが、さらに摘果によって1本の結果母枝についている葉の枚数10枚〜20枚につき、一個の実に減らす作業が摘果です。成木では1本の木に40〜50本の母枝があるので、摘果によって1本の柿の木には50個〜100個の柿の実がつくことになります。糸貫の富有柿は徹底的な摘果により甘い高品質な柿を生産しています。

支柱立て(7月〜8月)

柿の実が大きくなるにしたがって枝が垂れ下がってきます。7,8,9月は台風のシーズンで風が強いときがあるので、柿の枝が揺れて枝が折れたり、柿の実が傷つかないように支柱を立て風の害を防ぎます。

防鳥対策(8月)

「太秋」は、実が色づく前にカラスが食べにきます。鳥から実を守るために、柿の木の周りにテグスを張って防鳥対策をします。「早秋、富有」では、実が赤くなるとカラスが食べにくるので、同様にテグスを張って防鳥対策を行います。

袋掛け(8月下旬〜9月上旬)

富有柿から大きな、赤い甘い高級な柿を作るために、若木の大きな柿の実を選んで、袋掛けを一つ一つ行います。樹上でゆっくり成長させ、遅い時期(11月末〜12月頃まで)でも柔らかくならずに完熟させるために行う袋掛け作業です。これにより、大粒で赤くて甘い、表面に白い粉を吹いた高級な富有柿「富有袋柿」が、12月上旬〜12月中旬に最高級の進物柿がとして収穫されます。サイズが4L〜6Lで糖度が18度以上、表面に白い粉が吹いていて、頭にめしべの残りの王冠がついたものは、「果宝柿」として2個または3個5000円〜10000円で販売されています。超高級の柿です。

収穫(10月〜)

品種により収穫時期が異なりますが、最も早いのは10月上旬から収穫ができる、早秋柿や太秋柿。10月中旬から松本早生柿が収穫できます。10月下旬からは4Lの大きな果実となる巣南柿の収穫が始まり、少し時期をずらして富有柿の最盛期を迎えます。